- 掲載紙
- 産業新潮
- 掲載日
- 2011年10月
ストーリー就活術
上村英樹著
日刊工業新聞社刊
経済が冷え込み、円高で企業はもだえ苦しみ、失業率も改善されない日本。それに輪をかけたのが東日本大震災。明日を夢見る日本の若者たちには過酷な時節である。だが、突破しなければならない関門—-入社試験がある。本書はこうした状況下で就活に挑む学生に向けて書かれた。某大手出版社の部長に聞いたことがある。「十数名採用のところに二万五千人以上の応募者がある。これだけのエントリーシートにはとても目は通し切れない」。人気大企業も大なり小なり似た状況だろう。本書はこうした企業を突破するためというより、履歴書を一次選考に使う企業への就活を意識している。
主な内容は1.書類選考にパスする履歴書の書き方、2.面接で最高の自分を表現する魔法の三ステップ(自信の上げ方)、3.短期間でストーリー要素を飛躍的に高める資格ブランディング。ここで著者は学生たちに「自分の生き方をストーリーにせよ」と説く。自分という人間がどんな半生—-ドラマを持っているかを、企業側に伝え届けるための方策がさまざまに供されている。そして企業が求める人物像について語る。まず、学び続ける人、探究心のある人である。また、期待以上の成果を上げる人、プラスアルファーを出す人である。そして、献身的で能力の高い人、自分なりの人生設計があり、その中に会社も含まれている。著者は、ツイッター、フェイスブックなどソーシャルメディアを効果的に活用することなども推奨しているが、奇をてらったアドバイスはない。人間としての基本をきちんと育むことを勧めており、社会人にも通じるパーソナルブランディングのための書である。